見て、やって楽しむ-テニスの魅力

(笑顔で話をしてくださった野﨑拓哉国体委員長)

神栖市を会場とするテニス。その魅力や特徴、さらに国体ならではのおもしろさについて、日本テニス協会の野﨑拓哉国体委員長と鈴木宏常務理事に話を聞いた。


団体戦ならでは面白さ

ラケットを使ってボールをネット越しに打ち合い、得点を競うテニス。国体では各都道府県代表2人が出場、先にシングルス2試合を行い、決着がつかなかった場合はダブルス1試合で勝敗を決める。区分は少年と成年の男女。少年は、予選大会なしで全ての都道府県が本大会に出場できるようになっている。短い会期の中でたくさんの選手がプレーできるように、いくつかの特別ルールも適用される。ジュースになったら1本勝負のノーアドバンテージ方式、通常よりゲーム数を抑えた8ゲーム先取で勝利という形式などがそうだ。


では、国体での見どころはどんな点だろうか。野崎氏はずばり「県別対抗の団体戦」と指摘した。通常、テニスは個人スポーツ。選手がコートに立ったら、外部からの干渉は好ましいとされていないという。ベンチに監督が入り、アドバイスを飛ばしながら試合が進むというのは、国体ならではの風景だそうだ。また、県ごとに団結した熱い応援も見どころの一つだろう。


プロも出場

大会にはプロの選手も出場する。成年男子では、日本ランキング10位の関口周一が三重代表として出場。同15位の仁木拓人も地元茨城の代表だ。大会が増えたことで、国体に出るトップ選手が減りつつあるという近年。しかし、国体も都道府県にとっては一大スポーツイベント。各県が丁寧にアプローチをかけたことで、少しずつトップ選手の参加は増えてきているという。大会を盛り上げると同時に、ジュニア世代の選手への大きな刺激となることが期待される。プロのプレーを近くで味わうことができる。今年は女子8人、男子10人のプロ選手が参加。トッププレーヤーの試合を堪能する絶好のチャンスだ。


「やるスポーツ」として

野﨑氏はテニスについて「生涯スポーツとしては一番」と力を込める。ダブルスなら仲間とコミュニケーションをとりながらボールを追いかけ、楽しんで体を動かすこともできる。汗を流した後には一緒に食事に行くなどの楽しみも魅力の一つだという。協会の2016年度調査ではテニス人口(過去1年間に1回以上、硬式テニスを行った10歳以上の推計数)は439万人と多く、大会も盛ん。毎年10月ごろに行われる全日本ベテラン選手権大会では、35歳から5歳刻みでクラス分けがなされている。同じ年齢層の人とプレーできるため、勝ったり負けたりという楽しみを味わうことができるのだ。学生時代に憧れていた選手と戦えたり、ときには勝ってしまったりなどする試合もあるという。参加の基準になるランキングの壁も、モチベーションをあげる良い刺激になっている。


次世代へ普及を図る

若い世代への普及活動にも力を入れている。近年、空気圧を調整して弾みを抑えたボールが登場したそうだ。動きに慣れていなくても扱いやすいし、子供向けに使われているスポンジボールよりもテニスらしさが味わえる。新しい用具を届けることの他に、協会が大切にしているのは指導者への支援だ。簡易化したルールや指導方法を本にまとめ、全国の小学校に配布している。小学校の学習指導要領改訂に伴い、「ネット型スポーツ」としてテニスが体育の授業に取り入れられていくことも予想されるが、教師全員が今すぐテニスを教えられるわけではない。サポートの重要性が伺える。「これなら自分たちにも指導できる、というようなことになっていってもらいたい」と野﨑氏は語った。


一緒に楽しめるスポーツ

鈴木氏は、多くの人が一緒にできるスポーツだという点をテニスの魅力に挙げた。進化した用具を使えば、子供から高齢者まで自分に合った形で競技が楽しめる。さらにテニスでは男性も女性も、障害のある人もない人も、ほぼ同じルールが適用される。一般的に1バウンドまでのところ、車椅子テニスの場合は2バウンドまで許されるというわずかな点を除いて、コートの広さや用具も変わらない。性別、年齢の違いや障害の有無にかかわらず一緒に行うことができ、ダブルスを組んで戦うこともできる。「そういうスポーツはなかなかない」と鈴木氏。


男子の錦織圭や女子の大坂なおみといったトッププロの活躍が目覚ましい今、「見るスポーツ」としては身近になっているテニス。実際に体を動かして、自ら「やるスポーツ」としての魅力も満載だ。


茨城国体に参加する選手に向けて、鈴木氏は「団体戦の難しさはあるが、めったにないスリルもあるので、それを楽しんで」とエールを送った。競技の魅力を一番に感じるには、やはり「現物を見にきてください」と笑った野﨑氏。今回、現地に赴けなかった人も赴かなかった人も、テニスの試合自体を見たことがないという人も、まずは国体チャンネルの映像で見てみてほしい。