茨城のクライミングが魅せた(リード少年女子・成年男子・成年女子)

■スポーツクライミング(リード少年女子・成年男子・成年女子)アーカイブ動画URL

少年女子 https://japangamestv.japan-sports.or.jp/broadcast.html?br=301335

成年男子 https://japangamestv.japan-sports.or.jp/broadcast.html?br=301552

成年女子 https://japangamestv.japan-sports.or.jp/broadcast.html?br=301553


 10月6日。前日までの快晴から一転、曇天が広がる中、鉾田市の鉾田総合運動公園の屋外特設会場では、スポーツクライミングの少年女子、成年男子・女子のリード決勝が行われた。

 優勝は少年女子が東京、成年男子が佐賀、そして成年女子は大阪となった。それぞれの種目で地元の茨城も出場したが、優勝はかなわなかった。しかし、少年女子でただ一人完登を果たした森秋彩(あい、つくば開成高)や、足だけで体を支えるなどの凄さを見せた成年男子の沼尻拓磨(茨城県競技力向上対策本部)、そして競技最後に見事完登を果たした成年女子の野口啓代(あきよ、同)ら、茨城チームは会場を大いに沸かせた。

 

 リードでは、壁が12メートルに設定され、登るチャンスは1回のみ。コースのカラビナにロープを掛けながら登り、制限時間6分間の到達高度で勝負を決める。速く登ろうとすれば落下のリスクが増し、逆にゆっくり登ろうとすれば肉体への負荷が増す。ペースを見極め、冷静に壁を登ることが求められる。

 

森秋彩が魅せた

決勝は予選を通過した各県代表の8ペア(2人1組)で争われ、この日最初は少年女子。どの選手も序盤こそ順調に進んでいるように見えたが、約150°の傾斜の難関エリアを超える選手はなかなか現れず、完登は遠いかと思われた中で迎えた。そして、6番目に登場した茨城。菊池野音(のね、東洋大付属牛久高)は惜しくも難関エリアを越えられなかったが、森は顔色一つ変えず完登。8月の世界選手権(八王子)で銅メダルを獲得するなど数々の世界大会で結果を残してきた実力を見せた。しかし、優勝をさらったのは東京。ゴール手前まで登った平野夏海(国士館高)と到達高度上位の菊地咲希(世田谷総合高)の活躍で、茨城を2位に抑えた。

(少年女子で壁の完登を目指す茨城・森秋彩)

 

一体となって沸いた会場

天気が荒れ、強い風が吹く中で迎えた成年男子のスタート。最初に登るのは茨城。野村真一郎(茨城県競技力向上対策本部)が先行した形となったが、攻略には繋がらず、チームは7位という悔しい結果に終わった。しかしコース途中では、沼尻が片手でぶら下がったり、体を足だけで支えたりと魅せた。試合後、沼尻は「観客の皆が楽しんでくれることも重要だと思うので、今回の登りで満足。7位だったが、いいクライミングができた」と満足げ。後続の選手たちも、力強い登りで会場を沸かせた成年男子。会場が一体となってクライミングを楽しむことができただろう。

(成年男子で足だけで体を支える茨城・沼尻拓磨)

 

最後は野口が決めた

最後は成年女子。少年女子・成年男子と同様に、やはり150°の傾斜エリアは優勝した大阪の2人はもちろん、多くの選手たちを苦しめた。前日のボルダリング決勝で優勝を果たした愛知ペアも、リードの壁の前に力及ばず、完登とはならなかった。そして満を持して登場したのは最終組の茨城ペア。2人を見るために集まった大勢の観客が大きな歓声を飛ばす。小林由佳(茨城県競技力向上対策本部)は予期せぬミスから低い位置での落下となってしまったが、野口は魅せた。8月の世界選手権複合種目で銀メダルを獲得し、来年の東京五輪代表を決めた野口。軽々と難関傾斜エリアを越えると、そのまま余裕を残してただ一人の完登。リード最後の登場にふさわしい素晴らしい登りで会場を沸かせた。結果としてはボルダリングに続いて準優勝にとどまり、前日の「挽回したい」という2人の思いはかなわなかったが、その勇姿はきっと観客たちの心に刻まれただろう。

(難関の傾斜エリアを突破した成年女子の茨城・野口啓代)

  

記事・写真:慶應義塾大学 結城和臣