スポーツクライミング女王の前に立ちはだかる壁(ボルダリング成年女子)

■スポーツクライミング(ボルダリング成年女子)アーカイブ動画URL:https://japangamestv.japan-sports.or.jp/broadcast.html?br=301333


10月5日。鉾田市の鉾田総合公園体育館アリーナ、スポーツクライミング競技のボルダリング成年女子の決勝戦が行われた。会場には鉾田市や茨城の名産品をふんだんに使った絶品グルメの出店も多く、休憩に訪れた選手たちも楽しそうに茨城の食材を楽しんでいる様子が見られた。


ボルダリングは、約3~5メートルの人工壁にあるホールドと呼ばれる突起物を手がかり、足がかりとして、そのホールドで構成された課題を登っていく競技である。

今大会では、選手2人のチームで戦う。5メートルの壁が2基あり、1基につき2つの課題が設定されている。互いにアドバイスを出しながら協力し、前後半それぞれ、制限時間5分間で1人につき2つの課題の攻略を目指す。

決勝には計8チームが出場し、昨年の国体少年女子で準優勝だった倉菜々子(愛知・名古屋芸術大学)と石井未来(愛知・株式会社ウィルスタッフ)のペアからなる愛知県が今国体では成年女子で初優勝。東京五輪出場を決めた野口啓代(あきよ=茨城県競技力向上対策本部)と日本のボルダリング界をけん引してきたレジェンド小林由佳(茨城・同)の茨城県は、予選こそ1位で通過するも惜しくも準優勝に終わった。


茨城と愛知、圧巻の登り

(見事に課題2を攻略した福岡の新嵩萌香の登り)

序盤から選手たちがホールドをつかみ、壁を登っていくたびに多くの歓声が沸く。しかし、課題の難しさに苦戦する選手が多く、ゴールに片手まではかける選手は多かったが、結局課題を攻略できる選手がいないまま課題1を終えた。

続く課題2。まず福岡の新嵩萌香(福岡県山岳連盟)が攻略に成功。今まで以上に大いに沸く会場。しかし、愛知は倉がいとも簡単に課題2を攻略すると、石井も攻略。強豪チームの意地を見せつけた。だが茨城県の2人も負けていない。野口も小林も流れるようなきれいな登りを見せて課題2を攻略。前半を終えて、惜しくも課題1を攻略した選手はいなかったが、2人が課題を攻略した愛知県と茨城県がリードする形となった。

女王一歩及ばず

(余裕すら感じさせる登りを見せる愛知の倉菜々子)

後半戦はいきなり東京の中村真緒(東京・青山学院大)が魅せる。残る課題2つを見事攻略してみせたのだ。後に苦戦者が相次ぐ課題3の攻略とだけあって、今大会に残るファインプレーだろう。他の選手たちも、中村のように前半に引けを取らない勢いで壁を登っていくが、惜しくも倉や野口にはかなわなかった。愛知県の倉は相変わらず余裕すら感じさせる登りで、中村と同じく残る課題を攻略。茨城県の野口も倉に迫る力強い登りを見せ、観客を大いに沸かせた。しかし、課題3で加点となるゾーンポイントを押さえられなかったことが響き、茨城県の2人は惜しくも敗北となった。


地元開催にかけた思い

結果こそ野口と小林は準優勝だったが、大いに地元を沸かせた。野口は「決勝では、私自身登れない課題があり、そのボーナスと完登の数が足らず優勝できなかったのが悔しい。しかし、きょうの決勝はたくさんの方が、特に地元の竜ケ崎市からもたくさんの方が応援に来てくれたので心強かった。地元の方々の前で優勝したかったから、あすは挽回したい」と話した。

小林は「予選一位だったが、決勝が想定より難しく苦手なコースで、時間配分などがうまくいかず優勝はできなかった。しかし、選手紹介で観客席を見て、多くの方が応援に来てくれたと分かって嬉しくなり、登っている時に聞こえた歓声もすごい力になった。あすは挽回する」と熱く語ってくれた。

壁に挑む茨城県チームの野口(左)と小林(右)


筆者: 慶應義塾大学 結城和臣