国体とW杯の相乗効果に期待―ラグビーの平林泰三レフェリー

元ラグビー選手で、レフェリーの平林泰三さん(44)宮崎県立宮崎大宮高校出身、選手として国体出場はなかったが、引退後はレフェリーとして数々の試合をコントロールし、国体の舞台をはじめ国際ラグビーボード(IRB)のU20ワールドカップ(W杯)などの国際大会でもホイッスルを吹いた。そんな平林さんに国体についてインタビューした。

(インタビューに答える平林泰三さん)


選手としての国体の印象

平林さんに、選手としてプレーしていた頃の国体の印象を聞いてみた。

宮崎県ではラグビーの国体選手を決める際、そのセレクションを行う前に市区町村の代表メンバーに入ることが条件だったという。また、国体の代表チームの監督は高校総体で優勝または準優勝した学校の監督が就任することが多かったため、メンバーもその学校の選手が選ばれることが多かった。そのため、「国体出場を特別に目標にする人は多くはなかった。それよりは、自身を含めてほとんどの選手が大阪・花園ラグビー場で行われる全国高校大会の出場やラグビーで進学することを目指していた」と話した。

レフェリーとして臨んだ国体

平林さんが国体でレフェリーをした2大会についても聞いてみた。その中で、特に印象に残ったのが2004年埼玉国体の少年男子決勝、埼玉対長崎の一戦だという。当時、天覧試合として開催され、NHKの生放送でも放映された。この試合、長崎リードでロスタイムを迎えたが、その後埼玉が大逆転トライを決め、地元で優勝を飾る結果となった。平林さんは「このようなビッグマッチを経験したことで、レフェリーとしての道を駆け上ることができた」と振り返る。

もう一つは、13年の東京国体。平林さんはトップレベルのレフェリーとして、主に運営や他のレフェリーへの指導に携わった。この大会は、東日本大震災後で初の復興支援国体として開催されたため、「日本の社会にとって重要な大会になった」と話す。

世界大会と国体の違い

平林さんは「世界大会はドル箱の大会」と話すように、国際試合の大きな大会は商業的なものとなっているという。世界のマーケットを動かすほど大きな力を持っているからだ。一方で、「国体には、国民の健康増進や地域活性化など、人・もの・ことを残すレガシーとしての役割がある点で違う」と平林さんは強調する。

国体がもつ可能性

国体に対して、その運営費用などの懸念や批判の目が向けられているのも事実だ。しかし、平林さんは「国体を開催することには重要な意義がある」と力を込める。以前に比べ、現在は成年の部や少年の部、さらには女子の部もできたことで、国体に出るチャンスが増えたという。それが、ラグビー選手にとって、一年間の中に国体出場が最終目標を達成する通過点となりやすくなった。また、第一線を退いた選手がもう一度ラグビーをする機会となるかもしれない。「いわば、ふるさと選手」と平林さんは呼んだが、「このような選手とプレーすることも国体でしか実現できないだろう」と話す。そういった意味で、国体はラグビーをはじめとしたスポーツを普及するために重要な役割を担っているといえるだろう。

国体から日本のラグビーへ

19年のラグビーW杯と国体が同時期に開催されることについても聞いてみた。平林さんは、「ラグビーに関わりのある人たちの中ではこの2つの大会への注目度はとても高い」と言う。その共通点は、ワールドカップにも国体にもブロック予選と決勝トーナメントがあることを挙げた。その点でも、「この2大会が相乗的に日本のラグビーを盛り上げることが期待できるのではないか」と指摘する。

また、「地域を代表するという意識を、少年の部などに出る高校生のうちから植え付けることは大切だ」と平林さんは話した。将来、シニア選手となってから国を代表するという意識を持つことは難しいからだ。国体によって、早い段階からそういった意識を植え付けられることに大きな意味があるのだろう。実際にも、今回のW杯出場の日本人選手のほとんどが国体の経験がある。

最後に、平林さんは選手に向け、「国体はパスウェイの中の大会ではない」と訴えた。数々の大会がある中の一大会ではないということだ。「国体は歴史のある国民のための大会であって、その大会自体が向上することに価値があることを忘れてほしくない」。茨城国体が日本のラグビーにとって特別な大会となることに期待したい。

(学生記者 山崎航平、金岡知葉と平林泰三さん)


筆者:早稲田大学 金岡知葉